数Tミニマム講座 3.三角比 基本定理

 ここでは、まず、三角比の基本定理で、要暗記公式を紹介し、そのあとで、具体的な使い方について解説、そして、問題演習とつながっていきます。

 重要事項は、赤字で表記してあります。これは、絶対に暗記してください。
 さらに、@、Aとあるものは、特に重要なものです。



@ sinθ+cosθ=1

この公式は、
・cosθ=1−sinθ
・sinθ=1−cosθ
と変形して、使う場合も、よくあります。


A tanθ=sinθ/cosθ

この公式を、覚えていれば、これ以降のtan関連の公式は、わざわざ暗記する必要がなくなります。

※この公式を使って計算していると、
cosθ/sinθ=1/tanθ となることがありますが、
1/tanθは、tanθをひっくり返したものです。

具体例をあげると、
tanθ=3/5だとすると、1/tanθ=5/3となります。
ただ、これだけのことですから、あわてないようにしましょう。


上記の@、Aを使って計算した際には、下にあげた表の内容を、併用することがありますので、ぜひ一緒に覚えておきましょう。
   sinθcosθtanθ
0°<θ<90°
90°<θ<180°




ここにあげた公式は、使用頻度は、上記の公式ほどでは、ありませんが、必須項目です。

sin(90°−θ)=cosθ
cos(90°−θ)=sinθ

これは、用語の使い方としては、おかしいのですが、個人的には、
「90°で、サインとコサインは、入れ替わる」と覚えました。


sin(180°−θ)=sinθ
cos(180°−θ)=−cosθ

これも、用語の使い方としては、おかしいのですが、個人的には、
「180°で、サインそのまま、コサインマイナス」と覚えました。



ここにあげた公式は、あえて覚えなくても大丈夫なものです。

・tan(90°−θ)=1/tanθ

tan(90°−θ)=sin(90°−θ)/cos(90°−θ)
=cosθ/sinθ=1/tanθ
という具合に、ここまでにでてきた公式で導き出せるからです。

※覚えるのに、困難を感じない方は、覚えてもかまわないとは思いますが。


・tan(180°−θ)=−tanθ

tan(180°−θ)=sin(180°−θ)/cos(180°−θ)
=sinθ/−cosθ=−tanθ
という具合に、こちらも、導き出すことは可能です。

※覚えるのに、困難を感じない方は、覚えてもかまわないとは思いますが。


・1+tanθ=1/cosθ
この公式に関しては、あえて、これを使わないと解けない問題というのは、ほとんど見たことがありません。

1+tanθ=1+(sinθ/cosθ)
=1+ sinθ/cosθ=cosθ/cosθ+sinθ/cosθ
=(cosθ+sinθ)/cosθ=1/cosθ
となります。

※覚えるのに、困難を感じない方は、覚えてもかまわないとは思いますが。




ここからは、公式の使い方の解説に入ります。

問1.0°≦θ≦180°で、cosθ=3/5のとき、sinθとtanθを求めよ。


<1>
cosθがプラスですから、sinθ、tanθもプラスになります。
(えっ?と思った方は、上の表を、ご覧下さい。)

<2>
まず、使う公式は、@sinθ+cosθ=1 です。
cosθとsinθとの関係を知りたいので、@ということです。

sinθ+(3/5)=1
これを解くと、sinθ=4/5

<3>
次に、使う公式は、Atanθ=sinθ/cosθ です。
tanθが出ている公式は、Aですから。

tanθ=(4/5)/(3/5)=4/3



問2.0°<θ<180°で、tanθ=−2のとき、cosθを求めよ。

<1>
tanθがマイナスですから、cosθもマイナスになります。

<2>
ここで、まず使う公式は、Atanθ=sinθ/cosθです。
tanθが出ている公式は、Aですから。

sinθ/cosθ=−2
これを変形すると、sinθ=−2cosθ となります。

<3>
次に使うのは、@sinθ+cosθ=1 です。

sinθ=−2cosθですから
(−2cosθ)+cosθ=1
4cosθ+cosθ=1
5cosθ=1
cosθ=1/5
cosθ=−1/√5(=−√5/5)




問3.sinθ+cosθ=√2/2 のとき、sinθcosθの値を求めよ。

<1>
sinθとcosθがありますから、使う公式は、@sinθ+cosθ=1 です。 ただ、2乗がありませんので、このままでは使えません。

<2>
ということで、与えられた式を2乗します。

(sinθ+cosθ)=(√2/2)
sinθ+2sinθcosθ+cosθ=1/2

sinθ+cosθ=1なので
1+2sinθcosθ=1/2
2sinθcosθ=− 1/2
sinθcosθ=− 1/4




問4.(sinθ−cosθ)+2cosθ・tanθを簡単にせよ。

<1>
この問題には、sinθ、cosθ、tanθと勢ぞろいしていますが、Atanθ=sinθ/cosθを使えば、sinθとcosθにしぼれます。 そうなると、@sinθ+cosθ=1 の出番ですよね。

<2>
(sinθ−cosθ)+2cosθ・tanθ
sinθ−2sinθcosθ+cosθ+2cosθ・sinθ/cosθ
=1−2sinθcosθ+2sinθcosθ
=1




問5.関数f(θ)=cosθ−2sinθ+5の最大値を求めよ。
 ただし、0°≦θ≦180°とする。


<1>
ここで、考えることは、2つあります。
関数を、sinθにそろえるのか、cosθにそろえるのか、ということ。
そして、tanθがありませんから、@sinθ+cosθ=1を使うということです。

<2>
@sinθ+cosθ=1を変形させると、
・cosθ=1−sinθ
・sinθ=1−cosθ
の2つが、考えられます。

関数には、cosθがありますから、使うのは、cosθ=1−sinθのほうです。さっそく、関数に代入してしまいましょう。

f(θ)=1−sinθ−2sinθ+5
f(θ)=−sinθ−2sinθ+6
となります。

<3>
このままでも、計算はできるのですが、f(θ)=y、sinθ=xとすると、やりやすくなります。

y=−x−2x+6

これって、2次関数の最大値ということですよね。

この場合、xの変域は、0≦x≦1となります。
0°≦θ≦180°においては、0≦sinθ≦1です。

ちなみに、0°≦θ≦90°においては、
0≦sinθ≦1、0≦cosθ≦1、0≦tanθ≦∞

90°≦θ≦180°においては、
0≦sinθ≦1、−1≦cosθ≦0、−∞≦tanθ≦0


<4>
平方完成です。
−x−2x+6=−(x+1)+7

よって、最大値は、x=0のときの6になります。
この段階で、?となった方は、関数の最大最小を復習してください。

実際は、x=0ということは、sinθ=0ですから、θ=0°、180°のときに最大値6ということになります。
最大値だけ聞かれているので、この問題では、ここまで考える必要はありませんが。



問題演習

1.tanθ=3/4のとき、sinθとcosθの値を求めよ。
 ただし、0°≦θ≦180°とする。

2.cosθ=1/2のとき、cos(90°−θ)とsin(90°−θ)の値を求めよ。
 ただし、0°≦θ≦90°とする。

3.cosθ/(1+sinθ)+tanθを簡単にせよ。

4.f(θ)=sinθ+cosθの最大値と最小値を求めよ。

解 答 


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