6.Q&A (5)実習の実際

Q:実習というのは、どのように行われているのでしょうか?


A:

 看護学校での実習には、「学内実習」と「病院実習」があります。


<学内実習>
 学内実習というのは、技術的なことを学校で習得することです。

<流れ>
※ここでは、いわゆる「ベッドメーキング」を例にとってみます。
 その中の「クローズドベッド」の作成という学内実習です。

※これは、実体験をもとに書いています。

1.事前学習レポートの作成と提出
 クローズドベッドの作成手順、必要物品、留意点、意義etcを、教科書などで調べて、レポートを書きます。

 それを、学内実習の時間が始まる前に提出し、OKが出れば、晴れて学内実習に参加できます。

※未提出や、内容が不足していると判定された場合には、学内実習を受けることはできません。(実際には、受けられなかった人はいませんでしたが。)


2.教員による説明とデモンストレーション
 クローズドベッドについての説明(講義)が、まず、行われます。

 続いて、教員によるデモンストレーション(模範演技?)を見学することになります。
※ビデオ撮影がされていて、後で、それを見ることができるようになっていました。

 デモンストレーションの際には、手順を図入りでメモすることに必死でした。^^;

 その後、各グループに分かれ、各教員の指導を受けながら練習することになります。


3.実技チェックに向けての練習
 後日、実技チェック(実技のテストということです)が行われるので、各自、自主練習に励むことになります。

 実技の内容によっては、学内実習の授業時間内だけでは、十分には身に付かないので、放課後など、何人かに呼びかけて、練習します。

※患者役の人がいないとできない内容もあるので。
※主婦など放課後の練習ができない人は、家で、ご主人や子供を患者役にして練習をしたりしていました。


4.実技チェック
 いよいよ実技チェックということになります。

 与えられた課題(ここでは、クローズドベッドの作成)を、行っていきます。

 この際、チェックリストに基づいて採点されていきます。
(教習所の検定みたいな雰囲気です。)

 きちんと行えるかどうかが、重要なのですが、場合によっては、制限時間が設定されていることもあるので、なかなかのプレッシャーがかかってきます。

 無事合格できれば、その項目はクリアしたことになります。


5.実技チェック不合格の場合
 実技チェックに落ちてしまった場合には、再チェックを行ってもらうことになります。

 この場合には、放課後などに自主練習を行い、自信がついたら、再チェックを願い出ることになります。

 再チェックが行われるのは、正規の授業時間外なので、昼休みや放課後ということになります。

 そして、このサイクルは、合格できるまで、続くことになります。

 項目によって難易度には差があるため、不合格者(つまりは、居残り練習者)続出となることもあります。

 男子学生、全滅ということも何度かあり、そんなときには、学校帰りに、定食屋通いが恒例になりました。^^;
(ときには、飲み屋で、愚痴大会になることも・・・)



 いくつかの実技チェックを全て乗り越えて、やっと載帽式に臨めることになります。

 そして、そのことは、いよいよ、病院実習に行けるという、お墨付きをもらえたということでもあるわけです。

 言ってみれば、やっと仮免で路上教習というところかもしれませんね。
 
 ちなみに、自分が通っていた学校で行われたチェックの項目を以下にあげてみますね。

@クローズドベッドの作成
A患者の動かし方
B血圧測定
C無菌操作
D寝衣交換
E便器の与え方
F部分清拭
Gケリーパッドによる洗髪
H注射部位の選択
I環境整備「病床」
Jバイタルサイン

 もちろん、ここで書いてきたことは、あくまで、一つの例ですから、学校によって、それぞれ異なることは、御承知おきください。





<病院実習>

 ここでは、病院実習のある一日のことを書いてみます。
 ただ、時間に関しては、おおよそのものとお考えください。

 なお、病棟実習の場合は、グループごとの行動になります。
 グループによって、行く病棟が異なるということです。
 もちろん、最終的には、一巡することにはなります。

 ※斜体字部分は、個人的に心がけていたことです。

8:00
 病院到着。更衣室にて、白衣に着替える。

8:10
 学生休憩室(実際には食堂の片隅)で、看護計画を読みなおす。

8:20
 病棟に向かう。
 まずは、受持ちの患者さんに、朝の挨拶に行く。
(昨夜からの状態を本人に確認することも兼ねて)

※これを怠ると後で泣きをみること多し。

8:25
 ナースステーションに到着。

8:30
 申し送り開始。
 第一のアクシデントが起こるとするとここ!
 例えば、入浴を予定していって、「○○さんは、昨夜から熱発(ねっぱつ)しています」などと言われてしまう。

 ここで、事前に患者さんの様子を知っていたとすれば、心の準備もすることができ、「入浴を予定していましたが、熱発しているようなので、これから指導者と相談して検討していきたいと思います」などと、切りぬけられたりする。
 いきなり、ここで知った場合には、とてもそんな心の余裕はでてこない。

 受持ち患者さんのことだけでなく、同室の患者さんのこともメモする。

9:00
 申し送り終了。
 学生はスタッフの前で、その日の計画の概略を発表する。

9:10
 指導者とのその日の実習内容についての打ち合せ。
 看護計画への情け容赦のないつっこみが入る時間。
(1日のうちで、一番つらい時間・・^^;)

 ここで、場合によっては、計画の立て直しが必要になる。
(患者さんの状態の変化や計画の甘さなどが原因となる)
 これを乗り越えないと実習には入れない。
※泣きながら、看護計画を書きなおす姿は、何度も見ました。^^;

9:30
 ナースステーションで、看護記録などで、患者さんの様子を再確認しておく。
(申し送りは、概略や重要ポイントだけになることがあるので)

9:40
 病室に向かう。
 他の患者さんにも挨拶をしておく。
※学生に受け持たれた患者さんをうらやましがる人もいますので、少しでもやわらげるために。

 環境整備を行う。(ベッド周りの簡単な清掃・整理整頓など)

ここから先は、その日の看護計画によって、異なってきます。


12:00
 昼食休憩。
 ただし、食事介助が必要な患者さんの場合には、昼休みに入る時間は遅くなってくる。
(指導者にきちんと話しておけば、こういうときには、午後の開始時間もずらしてもらえます。)

 食事を早めに切り上げて、午前中の記録を行う。
※こまめに片付けていかないと、後々大変になってきます。

13:00
 午後の実習開始。
 当然、看護計画によって、内容は、各自異なってきます。

15:00
 状況によっては、この時間あたりから、手が空いてきて、記録に取りかかれる場合もある。

16:00
 ミニカンファレンス(言ってみれば、反省会)
 事前にテーマを決めて、担当の学生が発表し、それについて討論する場合もあるが、通常は、当日の反省と翌日の方針みたいなものを打ち合せたりする。

17:00
 カンファレンス終了。記録物にとりかかる。
 記録物については、その日の物は、その日のうちに提出が必要になることもあるが、翌日の朝に提出ということもある。
※この辺は、学校というよりも、病棟(指導者)の方針によって変わってくる。

 ただし、翌日提出の場合でも、ある程度は書いておかないと、翌日分の看護計画もあるので、睡眠時間にも影響してくる。

17:30
 実習終了。
 その週の実習最終日や、泣かされた学生が出た場合などは、飲み屋などに直行でした。^^;

帰宅後
 その日の記録の残りを書く。
 翌日の看護計画を書く。

※ほとんど徹夜状態で来ている人もいました。
 先輩方には、点滴をうちながら実習をした人もいたとか・・。

日中から、ちょっとずつでも、書いておくようにすると夜寝ることはできます。(^^ゞ

※当然、学校、実習病院によって、時間・内容は、異なってきます。


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