裏ページ ポチものがたり

10.はみだしもん、ポチとタロー


ポチとタローは、同じ実習グループということもあり、いっしょにいる時間が多く、気の合う仲間どうしでした。

2人(2匹?)の共通点、それは、はみだしもん、ということでした。
(タローのほうが、ちょっと年下です。)


通常、看護学校入学後に、ちょっとしたきっかけから、仲良くなっていくものなのですが、ポチとタローは、試験の時からの知り合いでした。

キーワードは、たばこでした。

入学試験の日、休憩時間に、校舎内を、うろうろしているやつを見かけたポチは、ピンとくるものがあり、声をかけました。

ポ:「もしかして、喫煙所?」
タ:「そうなんですけど、どこなんですかね?」
ポ:「ないみたいだよ。」
タ:「看護学校だから、しょうがないですね。」

ポ:「ちょっと、行かない?」
タ:「行くって、どこですか?」
ポ:「外。」
タ:「外!?大丈夫ですか?」
ポ:「だめとは、書いてなかったはずだけど・・。」
タ:「・・・・・」
ポ:「それより、受験票持ってる?」
タ:「ポケットの中に・・。」
ポ:「じゃあ、行こうか。」


そのまま、外に出て、一服タイムということに・・・。

タ:「ところで、○○不動産で、賃貸マンションを借りてませんか?」
ポ:「えっ!?なんで、そんなこと?」
タ:「三鷹支社に契約で来たでしょう?」
ポ:「うん、行ったけど・・。」
タ:「俺、そこで働いていたんです。」
ポ:「で、でも、お客さんって、何人も来るんじゃないの?」
タ:「来ますね。」
ポ:「それを、一人一人覚えているもんなの?」
タ:「(苦笑)それは、無理です。」
ポ:「・・・・・」
タ:「でも、なんだか印象に残っていたんです。」
ポ:「印象って、・・俺、そんなに変なことしたかな?」
タ:「そうじゃないんですけど、とにかく印象に残ってます。」

この瞬間、ポチは、
「こいつとは、くされ縁かもしれないな。」
と思ったのですが、的中してしまったのは、言うまでもありませんでした。



看護学校というのは、出欠に厳しいところが多く、学生も授業をさぼったりということは、あまりしないものです。

でも、
タローの場合:
全教科で、満遍なくさぼり経験あり。ただし、欠席時数の限度の一歩手前で、止めておくというくらいの知恵は持っている。

こんなこともありました。
「親戚の叔父さんが急に亡くなったので、葬式に出なければならない」という理由で、実習を欠席。
次の日に、実習に来たときは、真っ黒に日焼けしていました。^^;

病棟の指導者に、
「叔父さんは、相当海の近くにでも住んでいるでしょうね」
などと、イヤミを言われても、
タローは、
「ええ。よくわかりますね。」
などと、全然負けていませんでした。^^;


ポチの場合:
実習と看護関連の授業は、全出席。
ただし、音楽や国語などになると、さぼりぐせが・・・。

「テニスラケットを脇に抱えて、隠しながら、校舎を出ていくのは大変でした。」(ポチ談)

こういうのを、どっちもどっちって、言うんでしょうね。^^;



こんな2人(2匹)が、その、はみだしもんぶりを発揮したのが、小児看護でのことでした。

「病棟内で、遊べるようなものを、自分で考えて、作って持ってきてください」
という宿題が出されました。

その当日、一人一人が、それを披露し、説明することになりました。

手作りの絵本や、ぬいぐるみなど、手の込んだ物が、次々を出されていく中、タローの番がきました。

実は、当日の朝、こんな会話がありました。
ポ:「宿題、何にしたの?」
タ:「宿題?」
ポ:「そう、小児看護の。」
タ:「今日でしたっけ?」
ポ:「そうだよ。持ってきてないの?」

一体、タローは、どうやって切り抜けるのか?
ポチは、そんな風にしか思っていないのですが、なにしろ、タローは「落ちそうで落ちない綱渡り」(ポチ命名)というキャッチフレーズを持つ男(雄?)でしたから。

タ:「ちょっと、ロッカーから取って来ます。」

一瞬のざわめき。(そんなに大きいものなのか?という雰囲気がただよいました。)

タローが持ってきた物。
それは、


10本の空きペットボトルとバレーボールでした。
(ペットボトルは、ごみ捨て場から調達して、バレーボールは体育館からちょっと借りてきた物でした。)

タ:「これで、ボーリングをします。」

これが意外と、評判がよかったんですよね。特に、お姉さまがたからは。
「子供って、結構、こういうのが好きなのよね。♪」


ポチの番も、すぐにやってきました。

ポ:「ちょっと、ロッカーから取って来ます。」
またもや、ざわめき。(こんどは、一体、何だ?という感じでした。)

ポチが持ってきた物。
それは、


ダンボール箱、はさみ、ガムテープ、クレヨン、でした。

ポ:「これらを、そのまま与えて、子供たちに好きなものを作ってもらいます。」

ポ:「何かをしてあげるのではなくて、自分で何かをしてもらったほうが、子供にとっても楽しいのではないかと、思いましたので。」

これも、意外と好評でした。やはり、特にお姉さまがたからは。
「確かに、子供って、作るの好きよね。♪」


小児看護の授業の後、喫煙所にて。
ポ:「なかなかずる賢いこと、考えたじゃない。」
タ:「人のこと言えます?」


その頃、お姉さまがたの間で、
「こういうのは、子供と同じレベルの人が、強いのよね」
などという話しが行われているとは、知るよしもない、2匹・・。
(このことは、後から、聞かされました・・。^^;)


ポチとタローの話しは、PART2に続きます。
タローの隠された一面が、そのとき、明らかに・・。
ハンカチの用意を、お忘れなく。(^^ゞ

To be continued.


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