看護婦・看護士への基礎講座 (1)看護関連の資格
2001.4加筆・修正


看護関連の資格には、「看護婦・看護士」、「准看護婦・准看護士」、「保健婦・保健士」、「助産婦」などがあります。

これらは、「保健婦助産婦看護婦法」=保助看法(ほじょかんぽう)と呼ばれる法律に規定されています。

保助看法によれば、以下のようになっています。

「看護婦」

:第五条 この法律において、「看護婦」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助をなすことを業とする女子をいう。

「准看護婦」

:第六条 この法律において、「准看護婦」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護婦の指示を受けて、前条に規定することをなすことを業とする女子をいう。

「保健婦」

:第二条 この法律において、「保健婦」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健婦の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする女子をいう。

「助産婦」

:第三条 この法律において、「助産婦」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導をなすことを業とする女子をいう。

※ちなみに、じょく婦というのは、いわゆる産婦などのことだと思っていてください。

※看護婦のことを、正看護婦または、正看と呼ぶことがありますが、厳密には、正式名称ということではありません。
(耳馴染んだ言い方なので、自分でも使ってはいますが・・・。)


以上の規定を読むと、「男はダメなの?」という疑問を持たれるかもしれませんが、以下のような条文が、ちゃんと用意されています。

「看護士」「准看護士」

第六十条 男子である看護人については、この法律中看護婦又は准看護婦に関する規定を準用する。

2 前項の規定により準用する第七条又は第八条の規定による免許を受けた者は、看護士又は准看護士と称する。


「保健士」

第五十九条の二 保健士の名称を用いて保健指導に従事することを業とする男子については、この法律中保健婦に関する規定を準用する。

※ちなみに、現在のところ、「助産士」は認められていません。


ここで、ちょっと、簡単な解説をつけてみます。

「保健婦」「助産婦」については、
実際には、病院などに勤めて、看護業務に従事している方達も多くいます。
(たいがい、看護婦免許も取得していますので・・・。)

保健婦だから、保健所などで働いている、
助産婦だから、産科関連で働いている、
とは、限らないということだけは、頭に入れておいていただければ、と思います。


ところで、「看護婦」と「准看護婦」の(法的に見た)違いって、わかります?

「国家資格」と「都道府県資格」ということは、条文に書いてありますが、「都道府県資格」と言っても、例えば「東京」で取得した資格が、他県で使えないということはなくて、全国で通用します。

また、今のところは、各都道府県個別に資格試験をおこなっているのですが、いずれ、全国統一試験(同一日に、同一試験問題)にしていこうということも検討されているようです。

「看護婦」と「准看護婦」という資格そのものの違いを抜きにして考えると、「国家資格」と「都道府県資格」との違いって、授与者の違い(及び、それに付随する手続き業務の違い)くらいのことしか、正直言って、個人的には、ぴんとこない感じはします・・・。


一方、業務内容についてですが、
「医師、歯科医師又は看護婦の指示を受けて」
という文言があるかないか、という点が違うということになります。

ただ、日常の業務ということを考えると、「看護婦」「准看護婦」問わず、
ドクターの指示や、病棟の婦長や主任、あるいは当日のリーダーの指示によって、動くということが多いものです。
(ルーチンワークとして決められていることも含めてですが)

そうなると、おこなえる仕事内容については、違いはなくなってきたりします。
(もちろん、指示を受けたことだけを、おこなうとは限らないので、そういう点での違いというのは、当然ありますが・・。)

違う資格なのに、おこなっている仕事は、大して変わりはない。
こういう事態は、現実問題として、あるわけです。

そのことの是非については、ここでは論じませんが、個人的には、ちょっと、すっきりしないものを感じたりはします・・・。


法律的なこと以外では、「看護婦」と「准看護婦」には、次のような違いもあります。

・准看では、就職に際して不利になることがある。
=大学病院などでは、正看しか、採らない所が多かったりします。

・給与の違い
=同じ条件で勤める場合でも、正看の方が高くなります。
 ただ、その違いには、さまざまなレベルがあり、一概には言えません。

・病院内での出世
=通常、婦長などになれるのは、正看です。

以上が主なものです。

養成施設での授業時間の違いから、「知識の差」が指摘されることもあります。
ただ、独学でそれを補っている准看護婦・准看護士の方が多くいるのも事実です。

また、将来、正看の資格に一本化されること(准看制度の廃止)も考えられています。
いつになるのかは、現在のところは未定です。
この場合でも、准看として働いている方が、その瞬間から、仕事ができなくなるわけでは、ありません。

これから、看護婦・看護士を目指す方は、最終的には、正看を取得するようにした方が、良いとは思いますが、准看経由で正看に至るルートも一つの選択肢です。
それぞれのルートのメリット・デメリットを、自分の状況から考えて、決めればいいのではないかと思います。

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